●だれもが知っている『人魚姫』の物語をモチーフに織り成す、恋のものがたり。●決して結ばれない、生きる世界のちがう二人の行き着く先とは……?
祖父がかつて買い取ったという洋館・海月館に、夏休み、ひとりで訪れた百彦は、一人の少女に声をかけられる。気の強い、どこかなぞめいた雰囲気をもつ彼女は言う。「わたしはもう、死んでるの」――。戸惑いながら次第に彼女に惹かれていく百彦。どうやら彼女をよみがえらせたのは死んだ百彦の父らしい。うみべのこの地で事故死した父。父と水無瀬の関係とは? そして彼女の抱く真実とは……?
1981年、東京都生まれ。服部栄養専門学校卒業。2005年、安部公房『箱男』へのオマージュ作品「さよなら アメリカ」で第48回群像新人文学賞受賞。同作で第133回芥川龍之介賞候補。